2006-12-23

12/23 松坂大輔とジャイロボール

Washington Post紙からですが松坂とジャイロボールについての記事がありました。
ジャイロボールについて検索している人も最近増えているようだし、記事自体なかなか興味深いので訳してみました。


松坂の獲得でレッドソックスとヤンキースのライバルは太平洋を越えたものとなってしまった。それにこれでレッドソックスの先発陣は球界屈指のものとなったのだ。

しかし少なくとも野球ファンなど少数の人にとって一番興味があるのは松坂の到来によってジャイロボールという魔球が見られるかもしれない、ということであろう。

ジャイロボールは日本の物理学者 ヒメノ・リュータロウ氏が野球トレーナーのテヅカ・カズシ氏の助けを得てスーパーコンピューターで作り出したのが初めだ。この様子は2001年の本『魔球の正体』でよくわかる。

ジャイロボールの論理は他の球と違って思い切りドロップするか左右の揺れが著しく大きいかどちらかだ。それはファストボール、カーブのバックスピンというよりフットボールがスピンするような、銃弾のようなものだ。

「それだったら10分で教えてあげるよ。」ピッチングに関する怪我では第1人者でBaseball ProspectusのライターでもあるWill Caroll氏はアメリカではジャイロボールにかけては一番詳しい。
「マスターするって?それにはもっと時間がかかるね。」

新種の球は三冠王達成と同じくらいまれなもんだ。1970年代、Bruce Sutterが投げたスプリットフィンガーファストボールが最後の新種だった。だからこそジャイロボールを投げるといわれる松坂の到来はCarrollのようなジャイロボール信者を大興奮させるのだ。

しかしジャイロボールって本当にあるのか?本当に新しいものなのか?

「そんなものはない」元レンジャーズ、メッツの監督で現千葉ロッテ監督のボビー・バレンタインは言った。

「ジャイロボールなんてない。誰が作り出したのかもしらない。」元メジャーリーガーで今は日本の野球選手についてのスカウティングレポートをメジャーリーグのチームへ供給しているスカウト会社を経営するMike Pagliaruloは言った。「松坂は他の選手と違うボールなんて投げない。あ、それにマントも羽織っちゃいないし、飛ばないぜ。」

「それはスクリューボールだと思う。」WBCでUSチームの監督をしたBuck Martinezは語った。

「チェンジアップだろ。」イェール大物理学教授で『野球の物理』の著者であるRobert Kemp Adairは言った。「そんなもんナンセンスだ。」

イリノイ大の物理学教授で野球の物理学に詳しいAlan Nathan「あれはどちらかというとカットファストボールに近い。でももっと落ちるんだ。」

間違いなく、文化、言語の違いから混乱は生じている。ヒメノとテヅカの本は英語に完訳されることはなかった。松坂はその球については1回だけアメリカのレポーターに話したことがある。しかも通訳を通じて。それはWBCの最中の3月のことであった。『あ、はい。ジャイロボールを投げるようにしています。試合では投げたことあります。でもたくさんじゃない。たまに偶然で投げます。』

まだあります。時間がないので<続く>


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2006-12-22

12/22 チケット届く、かと思ったら

2、3週間前に4,5月の試合とSoxPax(4試合のパッケージ)が発売となり、気合入れてがんばった結果、SoxPaxをゲット、ついでにHubさんって仲間の分まで買うことができました。

このチケットってクリスマスのプレゼントにする人がいるからって今頃までに届くもんなんですが、郵便がうちにきていました。

わーい!と思って開けてみたら、がーん、なんと中にあったのは

「SoxPaxのチケットは3/15までに送ります。」だって~'`ァ,、ァ(*´Д`*) '`ァ,、ァ

で、チケット代りに

このカードでお茶を濁せってか。本物のチケットすりすりしたかったのに~


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12/22 Runelvys Hernandezとマイナーリーグ契約

静かな週末へ突入しそうです。今日は忙しいのに午後2時で帰っていいよ、とメールが来たのでさっさと帰ってきました。遣り残しは家でもできる、と一応機械は立ち上げてみたものの「まぁいいか。」とやめてしまった( ´^ิ∀^ิ`)

で、この時期はニュースがない。あったと思ったらKC ロイヤルズからリリースされたRHP (Right Hand Pitcher)のRunelvys Hernandez(読めない)とマイナーリーグ契約してスプリングトレーニングにノンロースターとしてご招待なんてどうでもいいニュースでした。

多分来年はトリプルAのPawtucketで投げることになるでしょう。できれば彼がボストンで急遽登板、なんて事態にならないことを祈ります。

で、えーと、来年のPawSoxのローテーションはレスター、ギャバード、ハンサック、ポーリー、ディナルド、昨日契約したAdam Bernero(アダム・ベルネロ?)、そしてこのヘルナンデスってところでしょうか。

レッドソックス愛好会ではマイナーリーグの試合を観に行こうなんて言ってますが、レスターくん先発なら大当たり。


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12/22 ドリューの契約

Boston Globeによると5年 $70Mのコントラクトのうち最後の2年は一定のパフォーマンスに満たない場合を想定してレッドソックスの有利になるよう交渉中だそうです。

ちょっと忙しいのでこんだけ。
みなさん楽しいクリスマスをお過ごしください (*^▽^*)

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2006-12-21

12/21 フォークの行方も決まるかも

今日は家で働いていたのでラクできるかと思ったらとんでもない。夜の9時まで機械の電源落とせずばたばたしてました。もうすぐたのしいクリスマスだってのに忙しくしないでほしい。

さて大好きだったKeith Foulke キース・フォークがボストンには戻らずどこかへ行きそうです。
アリゾナに家があるからそこへ行きたいって話しもあるけどクリーブランドからも誘われているらしい。

どちらに行くにしても頑張って欲しいもんです。

そしてフォークはタイプBなのでレッドソックスにはドラフトピックが1つ入ってきます。わーい!

でも多分全体で52位くらいとの予想がでているので来年は40(あたり)、52(あたり)、2巡目の20位、多分100以内はこんなもんで終わってしまいそうです。あ~あ、さみしいドラフトになってしまう。こうなったらボラスがついていてもなんでもいいからスモールマーケットのチームが取れない大物を獲ってもらいましょう。ボストンにならできる。


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MLBプレイヤーの平均給料

Baltimore Sunからの記事ですが、MLBプレイヤーの2006年平均サラリーは昨年に比べて9%アップの$2,699,292でした。バブってます。

NYYの平均サラリーが一番高く(驚いた?)、$6.95M、それでも05年の$7.39Mより少し下りました。

次はHOUで$4.28M。クレメンスの加入が大きかった?
3位が私たちのレッドソックスで$3.99M。$4.17Mから下がってます。ボンレスデルカーメンなんかが頑張ったからね。

さらにNYM ($3.86M)、CWS ($3.81M)、STL ($3.78M)と続きます。

一番低いのがFLAで$594,722。ほんとに低い。

ポジション別にいうと
3B ($5.87M)
1B ($5.78M)
DH ($5.59M)
OF ($4.88M)
SP ($4.87M)
SS ($4.06M)
2B ($2.79M)
RP ($1.43M)

あれ、Cがいない。3BはA-Rodがいるからこんなに高いのかもしれません。


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12/21 まだ決まらないドリューとカブレラとか

☆ ボラスは「ドリューに悪いとこなんてどこもないさ。」とぶっこいているようです。じゃあなんで決まらないのぉ?

☆ ボストンに来てくれたらものすごくうれしいMiguel Cabrere ミゲル・カブレラがFAになったら$200のコントラクトは取れるだろう、と代理人は信じている。カブレラがFAになるのは3年先の2009年。26才になっています。26でFA!8年?10年?どんな契約になるんだろう。

☆ ツインズはポンソンと交渉中。欲しがる人いるのね。

☆ PITのマイク・ゴンザレスをATLとの三者トレードでNYYにいくっつうのはなくなったようですが、依然としてPITがラローシュをほしがっているのでゴンザレスはATLに行くかもしれません。もしATLと話が折り合えばゴンザレスが来るかも。


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ボストンの地下鉄


ボストンの地下鉄はとても古くて少し前まではトークンと呼ばれるコインが乗車券の代りになっていましたが、最近Charlie Card チャーリーカード と呼ばれるものを発行、テクノロジーを駆使した仕組みに変わりました。

でもそれがまた慣れないうえ、ややっこしくてみんながいらいら(*~・ω・)ゞ

機械にお金を入れて自分のチャーリーカードにチャージする方式ですが、機械がなかなか読み取ってくれなかったりで、私のときは係員がやってくれてたのに彼女が「これ嫌い!」って(笑)。

それに伴ってか、これまでの乗車賃$1.25が$1.70へと大幅値上げ。まぁそれでも安いです。日本に帰るたびに電車賃が高いと驚く私です。

地下鉄の地図はこんな感じ。東京に比べたらあっさりしてます。色がそのまま電車の名前で「レッドライン」「グリーンライン」と覚えるのは簡単です。

フェンウェイのある駅はKenmore ケンモア。グリーンライン上にあります。今年1年ずっと工事中で試合の帰りは改札にたどりつくまで15分ほどかかりました。来年はもっと大きくなっているといいんだけど。

あと、時刻表はあるようなないような、かなり適当です。運転途中で電車が止まることがあっても車内放送が一切なかったりします。のんびりしてます。



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2006-12-20

12/20 来年のジャイアンツ

サンフランシスコ・ジャイアンツがライアン・クレスコを獲得。
ただでさえ年老いたチームに一層の拍車がかかりました。

どんなだろうというと以下のとおりですって。
(年齢は07年開幕時)

* C -- Benjie Molina, 31
* 1B -- Rich Aurilia, 35
* 1B -- Ryan Klesko, 36
* 2B -- Ray Durham, 35
* 3B -- Pedro Feliz, 31
* SS -- Omar Vizquel, 40
* LF -- Barry Bonds, 42
* CF -- Dave Roberts, 35
* RF -- Randy Winn, 33

平均35.3…20代がいないうえ、35才以上が6人もいる!

ちなみに我がレッドソックス

C Jason Varitek, 35
1B Youks, 28
2B Dustin Pedroia, 23
3B Mike Lowell, 33
SS Julio Lugo, 31
LF Manny, 35
CF Coco Crisp, 27
RF J.D. Drew, 31
DH David Ortiz, 31

平均 30.4才…こんなもんか?
08年の契約決定は4人(Tek, Coco, Papi, Manny, Lugo, Drew?), 09年の契約決定はCoco, Papi, Lugo, Drew?。Pedroia, YouksはFAまでまだまだ。

ついでにヤンキースもやってみよ。

C Posada, 35
1B Hillenbrand 31? Minky 32? Loretta 35?
2B Cano, 24
3B A-Rod, 31
SS Jeter, 32
LF Matsui, 32
CF Damon, 33
RF Abreu, 33
DH Giambi, 36

Giambiは08年まで、A-Rod, Jeter, Matsui, Damonは09~10年まで残る。

マーリンズもやりたいところだけど落ち込みそうだからやめます。


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12/20 ロレッタとドリューとジト

☆ 最低のお給料で使えるセカンド(ペドロイア)がいるのでレッドソックスは多分再契約しないと思いますが、ロレッタにはレッズ、オリオールズ(ロバーツがトレードされた場合)も関心を持っているようです。

ドリューのレッドソックス行きに関しての契約書は改訂されるのではないかとHerald紙が報じています。。。。なんとか有利に持っていこう!

ジトにはマリナーズもアタックしているようです。でも望みは薄そうな様子。

☆ 05年にグラフとトレードでKCに行ったChip Ambresがメッツとマイナーリーグ契約。。。。誰も気にしてませんね。でも元ドラ1。

☆ ついでにマリナーズのプロスペクトだったClint Nageotteもメッツとマイナーリーグ契約。


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2006-12-19

12/19 ヤンキースの1塁手さがし

なんでもヤンキースはFAのDoug Mientkiewicz(愛称 ミンキー)を1塁手にしようかと交渉中との噂があがっています。でもこれはもしかして同じくFAのShea Hillenbrand(愛称 ヒレ坊)の要求額を下げるための工作かも、とも。

さらにMark Loretta(愛称なし)にも関心を示しているそうです。

どうでもいいけどどれも元レッドソックス。

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12/19 ジトとかデーモンとか

☆ バリー・ジトの行き先はレンジャースがメッツに絞られたようです。最終的に$100Mを超えた契約になると私は睨んでますが果たしていくら/何年になるんだろう。

☆ デビル・レイズがマーカス・ジャイルズに3年のオファーをして断られる。

☆ オリオールズはクリス・レイとブレイブスのアダム・ラローシュをトレードするかもしれない。あら!

☆ 井川がヤンキースと5年 $20Mの契約をするだろう。あ、これは日本ではとっくに報道済ですね。

☆ J.D. ドリューとの契約はいまだ解決策見えません。

ただいまWEEIに元#18のジョニー・デーモンが登場。
ドリューについて「健康でさえいればレッドソックスファンはハッピーだろう。」
A-Rodについて「彼はたいへんな1年を過ごしたと思う。エラーをし続けたときもがんばり続けた。僕が彼の立場だったらどうなっていたかわからない。彼はすばらしいチームメイトだ。」


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2006-12-18

12/18 松坂のTシャツもあった

松坂のジャージは先日ご紹介のほか、こんなのもありました。



ホームのジャージで$99.99。ロードのジャージよりずっとお手頃です。


さらにオルタネイトのもあった。

こちらも$99.99。100ドルを切るお値段と割安感を出しています。

Tシャツももう出てる。




ここここここで見つけました。

私は試合に行くたびちょびちょび買う習慣なのでいつかきっとTシャツ買いそうな気がします。


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12/18 クローザー

まだクローザーが決まりません。

Gammonsの最新ブログではレッドソックスの今の状況に触れています。


「Fausto CarmonaやFernando CabreraがクリーブランドでクローザーになれるというならCraig HansenやBryce Coxだってボストンでクローザーになれるかもしれない。」

「しかしHansen、Delcarmen、Coxを急がせる前にDevern Hansack、Mike Timlin、Julian Tavarez、Romero、岡島などのチョイスもあるのだ。」

「Schilling、Beckett、Matsuzaka、Papelbon、WakeのほかJon Lester、Clay Buchholzが控えているし、ボストンは先発陣を固めたいと思っている。レッドソックスはベケットを出してクローザーを獲る様なことはしないし、Clemensがキャリアをボストンで終わらせたいって言うんじゃない限りここには戻ってこない。」



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2006-12-17

12/17 Marcus GilesはSDへ

レッドソックスも狙っていたというマーカス・ジャイルズはやはり予想通りパドレスと1年契約を結ぶようです。

うちらにはせっかく給料がミニマムのセカンドがいるんだから使いましょう。
来年はペドロイアのTシャツも買おうかと思います。

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12/17 どうなるドリュー

J.D. ドリューのレッドソックス行きがなんだかほんとに怪しくなってきました。
boston.comからです。

月曜日に肩についてもう一人の意見を聞く。それが契約の決定に影響するほどのものなのか契約内容についてたとえば保証された金額に条件をつける程度なのかは不明。場合によっては契約年数を縮めることもあり得る。

ジョージアにいるドリューは個人的なことで忙しくて返事はできないと言っていた。

レッドソックスもボラスも契約の文章に関してのことだけだ、と言っているがもっと深刻なのは確かだ。

メディカルのことでレッドソックスが契約を完全に引っ込めるということはないだろうが、妥当な改訂ができないならば別のプランを考慮するかもしれない。ボラスはドリューが11月に契約途中でFAになってからはレッドソックスが唯一の行き場だと狙いをつけていた。ドリューを欲しがるチームはいないと思ったが実際は他にもいくつかのチームが彼に関心は持っている。

しかしドリューは年俸$14Mを稼げるか?


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12/17 松坂契約までの舞台裏

今日のBoston Globe紙に掲載の"Wooing of pitchers was wowing(ピッチャーを口説くのはものすごい)"という松坂を発見してからレッドソックスと契約するまでのとってもおもしろい記事があります。

ほんとなら訳したいところだけどかなり長いので一部だけ書くと

土曜日の夜、オーナーの一人であるTom Werner氏の自宅でディナーをした。Wernerはハンディ9のゴルファーでもあるが、松坂もゴルフが好きだと聞きWakeがいかにゴルフがうまいかなどを話した。Theoは松坂の自信に驚いたがたぶんいくらか答えを教えられたのではないかと疑った。

フランコーナは松坂に冗談を言おうとしたが、松坂は居心地悪そうであった。日本では選手と監督の関係がもっとフォーマルであるからだ。

ワーナーはリビングルームへ行き、04年ワールドシリーズのトロフィを見せて「これをもう1つ取るるよう力になって欲しい」と言った。松坂は笑顔をみせた。

木曜日の記者会見のとき300人のメディア関係者が押寄せた。ヘンリー氏はTheoに「大胆にいけ」とアドバイスした。

しかしTheoはその1日前はカリフォルニアでヘンリー氏のプライベートジェットで松坂とボラスが現れるか待ったいたのだった。Theoは祖父(映画の脚本家でオスカー受賞者)の書いた「カサブランカ」を考えずにはいられなかった。

スカウトの一人Deebleが初めて松坂を見たのは1998年、甲子園で17イニング250球を投げたときだ。言うまでもなく彼のスカウティングレポートは6年後アテネオリンピックでオーストラリアチームから14Kを奪ったときと同じほどポジティブであった。

3年前ShipleyとDeebleが初めて松坂をスカウトしだしたとき西武は特別席のチケットをくれなかった。レッドソックスからきたからだ。

ボストンでの松坂の初めての顔みせはボラスの雇った通訳によって台無しとなったが、その夜ガーデンでのBruins戦でスタンディングオベーションを受けたときの喜びの顔に間違いはなかった。

11/8 4:58 pm入札期限2分前のことだ。Yawkey Wayのレッドソックスのオフィスに一同はいた。Theoは1枚の紙をNYにあるMLBオフィスにファクスした。彼らは西武と裏工作していてわざと高額の入札をするチームもあるかもしれないと恐れ思い切り高く入札することに決めていた。しかし同時に2位のチームより2倍もの高額で入札して恥をかく可能性もあったのだ。

実際の数字はTheoとヘンリー氏の間で決まった。ヘンリー氏は本人を迷信深いとは思っていないが、松坂と誕生日が同じ(9月13日)ということもあり、11という数字で遊ぶことにした。11は前から因縁のある数字なのだ。Soxを買収するとき周囲に彼の正体がわかることを避けるため「Number 11」というIDを使っていた。そこで松坂の入札には11をなるだけ使おうということになり$51,111,111.11の数字が出てきたのだ。

Theoを含め誰一人として最後の瞬間までその金額を書きとめることはしなかった。その金額を知る人数も限りなく少数であった。

5時1分過ぎにNYのMLBオフィスへヘンリー氏とルッキーノ氏が訪れる。誰が勝ったかわかるかと思ったのだ。しかしだめだった。

シプリーは翌日東京ドームでダン野村とアジアシリーズを観戦していた。野村が言った「ヤンキースが落札したらしいぞ。」シプリーはその瞬間打ちひしがれた。しかしMLBが西武に伝えるのは数字だけでチーム名は明かさないはずだ。だから西武が知るわけないし野村も知らないはずだ。

シプリーはその後台湾で別の試合を観ていた。Theoから電話があった。ボストンが最高額の入札をしたと言っている。シプリーは「第1段階をクリアしただけさ。まだまだこれからだ。」と冗談ぽく答えた。


一方ボラスもレッドソックスと同じくらい熱心に松坂を追っていた。15回ほど見ているし、彼が日本進出の初めての例となるのだから最高のものをほしかった。

レッドソックスだけが交渉権を持っていたのでボラスはいつものように他のチームと戦わせることはできなかった。最高の金額を出すため何かないとだめだ、そこで「松坂はエリートピッチャーなんだからオズワルトのような契約(4年 $70M)くらいは貰って当然だ」とぶちあげた。

外国から来てMLBで1球も投げたことがないなんて彼にはどうでもいいことだった。大事なのはレッドソックスがボラスがそう思っているってことだ。ボラスにとって一番大事なのは松坂を日本のアイコンとして守ること、松坂は特別な選手だとレッドソックスに理解してもらうことであった。そして何としても最高の契約をしてやろうと決心していたのであった。

2週間ほど前、レッドソックスは6年 $36Mのオファーをする。ボラスは返事をしなかった。

先週の土曜日、記者会見の途中みんなでカリフォルニアに行こうと決まった。ボラスに知らせるべきか?ルッキーノ氏とTheoは「しないで行こう」と言った。飛行機から電話するか?そんなのいい。直接行こう。

計画では月曜日の晩、ボラスと食事をすることであった。もしかした松坂も来るかもしれない。しかしボラスは松坂は気分が悪いからと言った。

翌日レッドソックスはオファーをする。6年 $48M。これも拒絶される。そして夜、ボラスのオフィスでのセッションとなる。レッドソックスは日本語の翻訳付き最後のオファー(6年 $52M)を松坂に直接手渡そうとしてボラスの怒りを買う。

ソックス側はカンファレンスルームでボラスの返事を待つが返事は同じだった。No deal。

食事の後、ソックスはホテルへ戻る。ボラスはTheoに電話をする。二人で会えないか。カウンターオファーをしたい。Theoは言った「もっと金額を上げたいのならやめろ。」ボラスはそれでもカウンターオファーをする。6年 $66M。それと同時に初めてベネフィットのことに触れる。通訳、日本へのフライト、住居のことなど。ソックスは即座にすべてを受ける。金以外のことならなんでもあげるつもりだった。ノートレード?大陸を越えてくるならノートレードがほしいのだ。

ボラスは午前4:30にオフィスへ戻る。契約はない。松坂はフィジカルを受けるためには9時にボストンへついていないといけない。Theoは言った「さもないと契約はなしだ。」Theoは思った「彼を置いて帰るなんてできない。一旦飛び立って引き返すか。飛行機は発つが俺一人残って交渉を続けるか。それともみんな帰らず残るか。」

ルッキーノとシプリーが1時間ほど寝たくらいで残りは1睡もできなかった。ホテルをチェックアウトしてシプリーとTheoは車の中にいた。ボラスに電話をして空港で会おうという。ボラスはNoという。ルッキーノが車に乗り込む。もう一回電話をすることにする。しかし今度はもっと切羽詰ったメッセージだ。「空港に来てくれ。でないと契約はない。」

ついに突破口が見えた。ボラスが2、3ことについて話を詰めたいと言った。もしソックスが誠意を見せてくれるというなら空港に行く。シプリー「彼が飛行機に乗るなら契約は成立したも同じだ!」

午前8:45、レッドソックスの一同はすでに機内にいた。ボラス、フィオーレ、松坂が現れる。ボラスがTheoの前を通り過ぎるとき言った「おめでそう」

シプリーは初めて彼の部下ホリー・グレイルと握手をする。「ついにお会いできてうれしいです」

ボストンではみんながインターネットで飛行機の行方を追っていた。前夜まったく寝ていなかった松坂はアメリカ式の朝食を食べ眠りに落ちた。夢を見ていたかどうかはあとから聞かないといけない。しかし彼が目を覚ましたとき、世界は目を閉じる前とはまったく違ったものとなっていたのであった。


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