12/17 松坂契約までの舞台裏
今日のBoston Globe紙に掲載の"Wooing of pitchers was wowing(ピッチャーを口説くのはものすごい)"という松坂を発見してからレッドソックスと契約するまでのとってもおもしろい記事があります。
ほんとなら訳したいところだけどかなり長いので一部だけ書くと
土曜日の夜、オーナーの一人であるTom Werner氏の自宅でディナーをした。Wernerはハンディ9のゴルファーでもあるが、松坂もゴルフが好きだと聞きWakeがいかにゴルフがうまいかなどを話した。Theoは松坂の自信に驚いたがたぶんいくらか答えを教えられたのではないかと疑った。
フランコーナは松坂に冗談を言おうとしたが、松坂は居心地悪そうであった。日本では選手と監督の関係がもっとフォーマルであるからだ。
ワーナーはリビングルームへ行き、04年ワールドシリーズのトロフィを見せて「これをもう1つ取るるよう力になって欲しい」と言った。松坂は笑顔をみせた。
木曜日の記者会見のとき300人のメディア関係者が押寄せた。ヘンリー氏はTheoに「大胆にいけ」とアドバイスした。
しかしTheoはその1日前はカリフォルニアでヘンリー氏のプライベートジェットで松坂とボラスが現れるか待ったいたのだった。Theoは祖父(映画の脚本家でオスカー受賞者)の書いた「カサブランカ」を考えずにはいられなかった。
スカウトの一人Deebleが初めて松坂を見たのは1998年、甲子園で17イニング250球を投げたときだ。言うまでもなく彼のスカウティングレポートは6年後アテネオリンピックでオーストラリアチームから14Kを奪ったときと同じほどポジティブであった。
3年前ShipleyとDeebleが初めて松坂をスカウトしだしたとき西武は特別席のチケットをくれなかった。レッドソックスからきたからだ。
ボストンでの松坂の初めての顔みせはボラスの雇った通訳によって台無しとなったが、その夜ガーデンでのBruins戦でスタンディングオベーションを受けたときの喜びの顔に間違いはなかった。
11/8 4:58 pm入札期限2分前のことだ。Yawkey Wayのレッドソックスのオフィスに一同はいた。Theoは1枚の紙をNYにあるMLBオフィスにファクスした。彼らは西武と裏工作していてわざと高額の入札をするチームもあるかもしれないと恐れ思い切り高く入札することに決めていた。しかし同時に2位のチームより2倍もの高額で入札して恥をかく可能性もあったのだ。
実際の数字はTheoとヘンリー氏の間で決まった。ヘンリー氏は本人を迷信深いとは思っていないが、松坂と誕生日が同じ(9月13日)ということもあり、11という数字で遊ぶことにした。11は前から因縁のある数字なのだ。Soxを買収するとき周囲に彼の正体がわかることを避けるため「Number 11」というIDを使っていた。そこで松坂の入札には11をなるだけ使おうということになり$51,111,111.11の数字が出てきたのだ。
Theoを含め誰一人として最後の瞬間までその金額を書きとめることはしなかった。その金額を知る人数も限りなく少数であった。
5時1分過ぎにNYのMLBオフィスへヘンリー氏とルッキーノ氏が訪れる。誰が勝ったかわかるかと思ったのだ。しかしだめだった。
シプリーは翌日東京ドームでダン野村とアジアシリーズを観戦していた。野村が言った「ヤンキースが落札したらしいぞ。」シプリーはその瞬間打ちひしがれた。しかしMLBが西武に伝えるのは数字だけでチーム名は明かさないはずだ。だから西武が知るわけないし野村も知らないはずだ。
シプリーはその後台湾で別の試合を観ていた。Theoから電話があった。ボストンが最高額の入札をしたと言っている。シプリーは「第1段階をクリアしただけさ。まだまだこれからだ。」と冗談ぽく答えた。
一方ボラスもレッドソックスと同じくらい熱心に松坂を追っていた。15回ほど見ているし、彼が日本進出の初めての例となるのだから最高のものをほしかった。
レッドソックスだけが交渉権を持っていたのでボラスはいつものように他のチームと戦わせることはできなかった。最高の金額を出すため何かないとだめだ、そこで「松坂はエリートピッチャーなんだからオズワルトのような契約(4年 $70M)くらいは貰って当然だ」とぶちあげた。
外国から来てMLBで1球も投げたことがないなんて彼にはどうでもいいことだった。大事なのはレッドソックスがボラスがそう思っているってことだ。ボラスにとって一番大事なのは松坂を日本のアイコンとして守ること、松坂は特別な選手だとレッドソックスに理解してもらうことであった。そして何としても最高の契約をしてやろうと決心していたのであった。
2週間ほど前、レッドソックスは6年 $36Mのオファーをする。ボラスは返事をしなかった。
先週の土曜日、記者会見の途中みんなでカリフォルニアに行こうと決まった。ボラスに知らせるべきか?ルッキーノ氏とTheoは「しないで行こう」と言った。飛行機から電話するか?そんなのいい。直接行こう。
計画では月曜日の晩、ボラスと食事をすることであった。もしかした松坂も来るかもしれない。しかしボラスは松坂は気分が悪いからと言った。
翌日レッドソックスはオファーをする。6年 $48M。これも拒絶される。そして夜、ボラスのオフィスでのセッションとなる。レッドソックスは日本語の翻訳付き最後のオファー(6年 $52M)を松坂に直接手渡そうとしてボラスの怒りを買う。
ソックス側はカンファレンスルームでボラスの返事を待つが返事は同じだった。No deal。
食事の後、ソックスはホテルへ戻る。ボラスはTheoに電話をする。二人で会えないか。カウンターオファーをしたい。Theoは言った「もっと金額を上げたいのならやめろ。」ボラスはそれでもカウンターオファーをする。6年 $66M。それと同時に初めてベネフィットのことに触れる。通訳、日本へのフライト、住居のことなど。ソックスは即座にすべてを受ける。金以外のことならなんでもあげるつもりだった。ノートレード?大陸を越えてくるならノートレードがほしいのだ。
ボラスは午前4:30にオフィスへ戻る。契約はない。松坂はフィジカルを受けるためには9時にボストンへついていないといけない。Theoは言った「さもないと契約はなしだ。」Theoは思った「彼を置いて帰るなんてできない。一旦飛び立って引き返すか。飛行機は発つが俺一人残って交渉を続けるか。それともみんな帰らず残るか。」
ルッキーノとシプリーが1時間ほど寝たくらいで残りは1睡もできなかった。ホテルをチェックアウトしてシプリーとTheoは車の中にいた。ボラスに電話をして空港で会おうという。ボラスはNoという。ルッキーノが車に乗り込む。もう一回電話をすることにする。しかし今度はもっと切羽詰ったメッセージだ。「空港に来てくれ。でないと契約はない。」
ついに突破口が見えた。ボラスが2、3ことについて話を詰めたいと言った。もしソックスが誠意を見せてくれるというなら空港に行く。シプリー「彼が飛行機に乗るなら契約は成立したも同じだ!」
午前8:45、レッドソックスの一同はすでに機内にいた。ボラス、フィオーレ、松坂が現れる。ボラスがTheoの前を通り過ぎるとき言った「おめでそう」
シプリーは初めて彼の部下ホリー・グレイルと握手をする。「ついにお会いできてうれしいです」
ボストンではみんながインターネットで飛行機の行方を追っていた。前夜まったく寝ていなかった松坂はアメリカ式の朝食を食べ眠りに落ちた。夢を見ていたかどうかはあとから聞かないといけない。しかし彼が目を覚ましたとき、世界は目を閉じる前とはまったく違ったものとなっていたのであった。
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9 件のコメント:
女王さんもこの記事載せたんですね。しかもちゃんと訳してるし(笑)。
これかなり興味深いですよね。そのうちワーナーが映画にしそう。そしたら$51Mなんて直ぐに回収できそうですよね。
ananasさんもでしたね!
すっごくいい記事でしたよね。
訳しながら最後はじーんとしました。
すみませ~ん(汗)
ジプリーって誰ですか?^^;
これってすごく細かいですね~
オーナーの方の手記なんでしょうか。。。
あとテオのおじいさんが、あの「カサブランカ」の脚本家なんてスゴ~い♪
静ちゃん♪
シプリーはスカウト担当の役員です。。。ジプリーって打ち間違えてた?
>オーナーの方の手記なんでしょうか。。。
どうなんだろう。とてもいい話なので感動しました。
すごい記事ですね!翻訳ありがとうございました。臨場感あってホントに面白い映画になりそう。活躍して優勝したらホント作るかも~ きっと2007年も予想外のドラマの連続でしょうね。そして「はっぴいえんど」
nomannyさん、
ハリウッドのプロデューサーでもあるトム・ワーナー氏のお宅で食べた夕食がこれまたすごかったのよー。
ファンの反応みたら「福井さん!」だって 笑。
きっと映画の舞踏会のようなすんごい夕食会なのね~ 眼がさめたら別世界かあ。。。
ところで「福井さん!」て誰ですか汗
福井さん!ってのは料理の鉄人に出てくる人。
アメリカバージョンでは吹き替えなんだけど、なぜか「福井さん!」ってとこは日本語そのものなのだ。
わお!あの番組、アメリカでも放映されてるんですか!そこだけ日本語、わらえる。
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